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2018年3月23日金曜日

人工呼吸器の本 エッセンス (The Ventilator Book)


MEDSi「人工呼吸器の本 エッセンス(The Ventilator Book)William  Owens」田中竜馬 訳
田中竜馬先生より贈呈いただきました。

確かに人工呼吸器の本は分厚くて、数式が出てきて、忙しいICUのお供には向いていません。自宅でデスクに向かって集中して読む必要があります。
この本、The Ventilator Bookは1つのChapterが10分ぐらいで読めてしまうので、ちょっとした合間に見ることができます。
通常わかりやすくシンンプルに書こうとすると、本質がぼやけて抜けてしまうことが多いのですが、ここはそれもクリアしています。
特にChapter4の格言集は、人工呼吸器を扱うすべての医師が心得ておく事項だと思います。
田中先生の訳も読みやすく、すんなりと読めてしまいます。
同じく本を書くものとして、ここまでの良書を書かれてしまうと、嫉妬すら覚えます。

まずは羊土社から出ている田中先生の呼吸の本を読んで入門とし、その後に臨床で人工呼吸器と患者さんに対峙する。人工呼吸器ってなんだか難しいな‥って思いはじめたあたりで
、この本を手に取ってみると次のfieldがひらけてくるのではないでしょうか。

贈呈されたからとかではなく、ほんとにほんとに心からお勧めできる1冊です。
(いや、自分だけで独占して文中の格言などを回診の時にさらっと話して自慢したいというのが本心かも‥)

http://amzn.asia/7pd5pPI


2018年3月14日水曜日

ASSETコース(Advanced Surgical Skills for Exposure in Trauma)を受講してきました

勅使河原です。
 2018年3月11日、千葉大学で行われたASSETコース(Advanced Surgical Skills for Exposure in Trauma)を受講してきました(勅使河原・三田看護師ペア)。このコースは日本では2年前から開始された、ご献体を使わせていただいての手術研修です。
 そもそも、なぜこのコースに参加したのかというと、H29年度外傷外科医養成研修事業に応募し受講できることになったからです。外傷外科医養成研修事業とは、厚生労働省の事業で本年度は日本外科学会に受託しているもので、近年の国際テロ全盛時代において日本でのテロ災害発生の可能性を鑑み、さらに2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えた救急医療体制の整備の一つとして、企画されたものです。
 目的は、①外傷外科に精通した外科医・看護師を育成すること②爆発物等のテロ災害に備え、爆傷・銃創・切 創などの重篤な外傷に対応可能な外科医・看護師を育成すること③爆発物等のテロ災害によって発生した多数傷病者を受け入れるための院内体制の構築を促す、ことです。
 1日の座学(爆傷や銃創等についての研修会)と、off-the-job training(ASSETかSSTT)が組み合わせて受講することが必要となります。興味深いところは、必ず医師1名と看護師1名がペアで申し込みをすることだと思います。その意味合いは、恐らく有事の際にはペアで招集をかけ、駆け付け、働くということだと思います。現に、受講者の募集要項に、オリンピック・パラリンピックやサミットなどの国際的なイベント時の外傷外科医の招集に積極的に対応できること、という事項が入っています。
 ASSETについて話を戻しますが、もともとはUSAでの外傷トレーニングコースです。さすが、というかやはりというか、ASSETコース内の症例は殆どが銃創例でした。
このコースは『血管の露出』が主眼になっており、基本的な想定が鋭的外傷となります。
わ が国では鋭的外傷が圧倒的に少なく、昨年の当科が対応した外傷患者は919人、その内鋭的外傷は40人、割合にして4.3%でした。ですから、日本の外傷外科医は鋭的外傷の経験が少なく、特に四肢血管損傷の経験が不足しているように思います。そこでASSETの出番となるわけですが、このコースの1番の特徴である四肢血管の解剖学的知識と経験が重要となってきます。
 鎖骨下動脈・腋窩動脈・上腕動脈・橈尺骨動脈・総大腿動脈・深大腿動脈・浅大腿etc・・・様々な血管の露出およびproximal and distal controlを、実際のご献体で学ばせていただくという非常に稀有な経験をさせていただきました。
 とても勉強になったことは当然ですが、今後の外傷診療への自信にも繋がりました。皆様、機会があればぜひ受講されることをお勧めします。
 当院は東京オリンピックの会場の1つである、さいたまスーパーアリーナに隣接しており、病院としても勿論テロ災害等に対しての準備を進めています。当科でも以前よりMCLSコースの受講や防災策定への関わりなど、災害への対応準備を進めてします。今回の受講もその1つであります。勿論、テロ災害など起こらないに越したことはありません。
ただ、もし起きてしまった時に、それまでどれだけの準備をし、どれだけ被害を食 い止められるか、が問われることは間違いありません。そのために、各個人・各組織・各地域、そして各国が、準備を進めていかなければならないと思います。
 奇しくも、3月11日は東日本大震災から丸7年。災害について強く考えさせられた日でした。皆様は、どのような1日だったのでしょうか。