本日1月21日はフルマゼニルの製造販売承認日です(1992年)。
〜中毒カレンダーより
フルマゼニルはロシュ社よりAnexate®(アネキセート)の名前で販売が開始されました。
いまでも私たちはベンゾジアゼピンの拮抗薬としてよく使用します。
ベンゾジアゼピンとは麻酔や睡眠薬として非常に広く使われる薬です。
機序はGABAa受容体のベンゾジアゼピン結合部位に結合して、GABAaのGABAに対する親和性を増強させ、Cl−がいっぱい細胞内に流入し、細胞の興奮抑制を起こすものです。
そしてフルマゼニルはこのベンゾジアゼピン受容体と競合的に作用します。
ただしこのフルマゼニル(以下アネキ)はプロの薬と考えています(普段使い慣れた人じゃないと使わない方がいいと思われる薬という意味です)。
理由は以下の2点です。
①作用が30〜45分できれる(実際はもっと短く)
アネキを完全な治療的拮抗薬であると認識すると危険です。ベンゾで寝ている場合に、
アネキivで目を覚ますのですが、しばらくすると薬効がきれます。この認識がないと、病室に入って看護師の目が離れたちょうどの頃合いに、再度昏睡に陥ります(最悪の場合は呼吸停止でそのまま発見されないと‥)。
従ってアネキは治療薬ではありません。現在の意識障害がベンゾジアゼピンの影響によるものかを確認するための「診断的」薬です。
②けいれんを起こす。
薬物中毒の場合は本邦では三環系とベンゾが同時に処方されていることが多いです。三環系の副作用に痙攣があり、この痙攣の副作用が同時に飲んでいるベンゾで抑えられている可能性があるからです。ここでアネキをivしてベンゾのみ拮抗してしまうと、三環系の副作用である痙攣が前面に出てきて‥。うった瞬間に痙攣します。
使い勝手が難しい薬なので、通常は私たち救急医や麻酔科医だけが使うちょっと専門的な薬と考えます。
「クスリはリスク」を忘れずに。
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